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2005年3月12日 (土)

黒船

「人間っていうのは外部からの圧力がないとなかなか動けないものなんですよ。それは企業でも同じです」 以前にある人からこう言われたことがある。
その人とは取引先のお客様の工場長。クレーム処理の用件でお邪魔したのだが、話が終わったあと雑談になり、その時に飛び出した言葉。その方が言いたかったことは、今回のクレームの真因は要はうちの会社が品質ISOを取得していない為に起こった不適合だと。それは物理的なエラーじゃなく人的エラーだと。だから品質ISOを取ってくださいね、ISOというものは外的圧力な訳ですよ、ISO取得してピリッとして下さいな…という展開。なるほど的を得ている。
その時はメーカーとして不適合品を流出してしまった申し訳なさからただただ「あぁそうですねぇ、上司に進言しときます」と頭をポリポリ。仕事上のうわべだけで話を聞いていたのだが、後になってボディブローのようにジワジワ効いてきた。冒頭の言葉が。
思い返して噛みしめてみると、仕事上のことだけではなく、非常に普遍的で示唆に富んだ、含蓄深いお言葉である。


日本人はよく外部から未経験のものが来襲してくる時、比喩的に「黒船」を多く用いる。
ISO自体も欧州で生まれた様々な分野に適合できるマネジメントシステムの国際規格なるものだ。黒船のようにかつての日本にやってきて、従来の経営のあり方というものをひっくり返した。ISOについては今回の本題ではないのでこの辺にしておく。


日常生活においても、色んな場面で未経験の事態に直面する時が多々ある。
いや、未経験の事態でなく経験済みのことでも、その時の心理状態や体調によって受け取り方が大きく変わり、受け入れることを拒否してしまうこともある。無意識に。
人間というものは、実は弱いものだ。そして一人でいる時ほど弱いものはない。自分しか見ていないからだ。だからどれだけでも誤魔化せる。サボれる(^^)

人間の真の強さはひとりになった時にわかる…なんて言葉を聞いたことがある。だが、僕はそうは思わない。そんなのウソだ。人間が一人で生きていけるはずなどない。
ただそれは「ひとり」を「一人」と読んだ場合。
「ひとり」を「独り」という読み方をした場合全く意味が変わる。「独り」の時ならば、確かに真価は問われるかな…。うん。変に納得。


人間とは、二人の時に実は一番力を出せるのだ。僕はそう思う。
勿論三人やそれ以上では力が出ないと言う意味ではない。一人でも、信じることの出来る人間がいるだけで、ギリギリの瞬間に限界を超えようと思う底力が湧く時がある。心から信じれる友達が多ければ多いほど、底力は出せるだろう、と。
だからたった一人だけそんな友達がいるだけで、人は強くなることが出来るのだ。成長の過程の中で。


一人でいる時の弱さを知っているが故に。
時として、友に対して、自分が「黒船」の役を買って出なければならない時が必ず来る。自分がその人にとっての外部からの圧力に。
心を鬼にし、その人を叩き斬る覚悟で。もちろん実際そうするのではなく、思いの上で。その人のことを大事に思い、それが裏づけとなっての行動なのだから。
こんな時代に、こんな考え方は古臭いかもしれない。
だがこんこんな時代だからこそ、こんなダサい考えを持ったバカが居てもいいと思う。

思い悩み、深く沈んでいるその人に、一時的には疎まれ、拒否されるかもしれない。誤解もあるだろう。
またその人にとって、果たして自分が心から信じて貰うに足る人間であるかどうかは分からない。
ただ、そうでありたいとひたすら願い、祈り、そのかけがえのないたった一人の人の為に、まことの時は、泣きながら走っていきたいと僕は思う。

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