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2005年8月28日 (日)

楳図かずお的な

 その昔、バリウムを飲んだ。
 

 生まれて初めてのバリウム。

 確かバニラ味だったような記憶。今からもう15年以上前の話だ。親父が癌で臥せっていたからこれは僕も遺伝的に気をつけなきゃならぬと思ったのがきっかけ。

 で飲んだ。バリウム。ぶっちゃけ、すこぶる不味かった。初心者(?)だから何度かゲップが出てしまい、でその度何度か炭酸の粉を飲まされた。吐き気を堪えながらもなんとかレントゲン撮影は終了した。

 その後問診があり、幸いなことに特に異常は無かった。十二指腸が若干変形していることを除けば。当時僕は親父のレントゲン写真をしょっちゅう見ていたから解る。内臓だけはそっくり同じ形状だ。やっぱり血の繋がった親子なんだ。僕と親父は。

 

 でその後ナースが事務的に僕にこう告げた。

 「二時間経ったらこの下剤を飲んで下さいね」 

 でもそれは僕の聞き間違いだったのかも知れない。

 後に色んな人から聞いた話では、正しくは、こうだった筈なのだ。 

 「二時間以内にこの下剤を飲んで下さいね」

 『経ったら』と『以内に』の違い。

 その時僕は、その違いが「天と地ほど」の差があることを知る由など全く無かった。 そしてそれは、決して聞き間違えなどしてはいけない言葉だったのだ。

 

 前日から真面目に断食を実施していたこともあって、検査が終わった途端に安堵感も加味されて僕は猛烈な空腹感に襲われた。だから僕は病院の食堂でお世辞にも美味しいとは言えないホットケーキと珈琲を朝食代わりに平らげた。ペロッと。 

 その後書店で立ち読みをし、気が付いたら検査を終えてから二時間を少し過ぎたところだった。
 (あ、もう飲まなきゃ下剤)と思い、自販機でジュースを買ってそれで飲み下した。

 

 

 一度でもバリウムを飲んだ経験のある方ならお解かりと思うが、その時僕は途轍もない過ちを犯してしまっていたのだ。バリウムの副作用というかそのポテンシャルとパワーの凄まじさを僕はその半時間後に心から思い知ることになる。

 

 まず。下剤が効いてきます。ジワジワと。病院で処方される下剤ですからそれはそれは便意を強烈に催します。
 ここで大きな問題となるのが、そう・・・バリウムの硬化速度です。時間が経つとこいつはまるで乾いた紙粘土の如く堅くなってしまうのです。

 僕は抗い難い便意に導かれて最寄のトイレに駆け込みます。そして・・・惨劇はその後に僕の身に降りかかってきたのです。 

 

 全身に鳥肌が立つほどの強烈な便意を催しているにも関わらず、得体の知れない何かが僕の出口に立ちはだかり、そしてそれは放出したいと切実に願う僕のささやかな希望を無残にも無視するのです。 

 それはまさに恐怖体験でした。僕は今の状況に心底怯えきっていました。

 早く出させてくれと訴えかけて来る下腹部。
 そして出させてやるもんかと抵抗する出口付近のレジスタンス軍。
 恐る恐る指先で確認するとそいつは頭を少しだけ覗かせている。触感でも充分感じられる程かなり強固な物体が間違いなくそこにある。

 

 

 ヤバイなんてもんじゃない。脂汗というものを僕はその時生まれてはじめて垂らしたのです。

 そして遂に僕は最早これまでという段階まで追い込まれました。このままいくと間違いなく僕はこの場で気を失ってしまう。しかも下半身丸出しで。もはや楽天的な考えなど到底発想できる状況などではない。

 

 

 生まれてこの方、これ以上いきんだことが無いという程僕はいきみました。お腹を痛めて我が子を出産するという母の痛みを知ったような気がしました(実際の生みの苦しみというものはこんなものじゃないとは思いますが)。
 全身の意識を僕の身体のただ一点に集中させ、気が遠くなるほど僕はいきみました。目玉が半分くらい顔から飛び出していたような気がします。

 

 そして僕の大事な部分に栓をしていたそれを、僕は遂に若干の出血と共に産み落としました。

 血と汗と涙にまみれ、僕は大きな仕事を一つ終えたのです。

 

 

 で今客観的に思い返してみると、その時の僕はこのような顔をしていたに違いありません。

 

k_umezu01

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コメント

へっへっへ~
やっちゃいましたね

ってか
触ったんかいっ!

投稿: ともも | 2005年8月28日 (日) 03:36

はい。触りました。
付け加えるならもしそこに手鏡があったならば間違いなく見てました(@@)
でもさウ◯コネタってさ、誰でもひとつやふたつ持ってますよね〜



カテゴリ化してもよいくらいです(^^)

投稿: レノすけ | 2005年8月29日 (月) 01:11

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