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2005年8月27日 (土)

わけの分からない情熱

「『リーダーシップ』っていう意味を社長はどのようにお考えですか?」
僕は思いきって聞いてみた。

その時のシチュエーションは取り立てどうってことはない。
休憩時間に僕は煙草を吸いに外に出て行くのだが、そんな時たまたま社長とタイミングが合い二人きりになってしまい、天気がどうだとか向かいのビルの工事の進捗状況がどうだとか、そんなどうでもいい雑談の中から出た科白だった。


実は僕は常日頃から彼のリーダーシップに疑問を抱いていた。
人を不快な気分にさせる天才的な能力がこの人には間違いなくある。
基本的にまず否定から入る人だ。肯定しているような素振りを見せる時もないわけではないが、その実そんな時は殆ど話を聞いていない。対談する相手をコテンパンに論破してやろうという強い意志を感じるだけだ。
否定から入る人間を僕は絶対に信用しない。まず肯定があるべきだ。そうじゃなかったら「対話」が成り立つ筈がない。「会話」ならまだしも。
それから彼はプライドが高いからちょっとでも反論などするとたちまち激怒する。
でもそのくせ話をしていると言葉の端々から実はとても小心者であることが伺われる。
そんなタイプの人種だ。本質的に傲慢なのだ。

何故そんな話題を僕は振ったのだろう。
自分の周りにイエスマンばかり集めようとしている姿が余りにも目に付いて仕方なかったからだろうか。
いつか機会があれば吐き出してやろうと思っていたことは事実だ。そして今がその時と僕は直感的に感じたんだろう。


「スキルとマインドの関係についての記事を読んだんです。それはリーダーのあるべき姿を説いていました」
彼は一瞬鳩が豆鉄砲を食らったような表情をした。
「それはどういう意味だ?何が言いたいんだ?」
「スキルは確かに必要です。でもそれ以上にマインドが重要だと僕は思うんです」
僅かな時間彼は目を泳がせてこう言った。「じゃあ君はマインドだけでだけで仕事が出来るとでも思っているのか?」
・・・食いついた。

「それでは逆にお伺いします。マインドなくして仕事が出来るとお思いですか?いい仕事が?」僕は反論した。
「それは・・・抽象論だ。実務をこなす時にそんな漠然とした精神論だけで今の大変な現状を乗り切ることが出来るとでも思っているのか?」
自分の体がブルブルと震えてくるのが分った。ヤバイ。俺キレそうだ。
平常心だ。落ち着け。この状況は想定の範囲内じゃないか。
僕はゆっくり深呼吸し、そして長い間溜め込んで一度はグチャグチャになってそれでも尚心の奥底に積もり積もっていたその言葉を口にした。

「はっきり申し上げますと、僕はあなたのリーダーシップについてずっと疑問を持っているんです」


途端に彼の顔色が見る見るうちに変わっていくのがはっきりと見て取れた。
ああ遂に・・・僕は遂にその言葉を口にしてしまったんだ。これを口にしてしまった以上もう後戻りは出来ない。今更後悔しても遅いぞ。
だから僕は矢継ぎ早に言葉を連射した。それは自分でもビックリするくらいスラスラと口から滑り出た。その中には今この瞬間に思い付いた言葉もあった。
「仕事って、その人の持つマインドのキャパ以上のものは絶対に出来ないと思うんです。だから部下にいい仕事をさせようと思うならばリーダーは部下のマインドを向上させる努力を常日頃から行ない続けなければならないと思うんです。それがリーダーに絶対不可欠な資質だと思うんです。少なくともあなたが一分でもそんな考え方を持っているならばそれは振る舞いとして顕われてくる筈です。どうひいき目に見ても僕はあなたにそれを感じることが出来ません。大体、一社員にここまで言わせてしまったあなたのその普段からの横暴で傲慢な態度に僕はもう我慢がなりません。自分の考えを押し付けるばっかりで人の意見など端から否定的な扱いばかりする」

ここで一度言葉を切って、そしてもう一度深呼吸して僕は最終的に用意していた言葉を言い放った。
「あなたはビジネスマンとしては優秀かもしれないけれど、経営者・・・いやリーダーとしては失格だ!」


え~・・・。
この物語はフィクションです(笑)

・・・今日仕事中にメチャ腹立つことあってさ、だからこんな妄想をするに至っちゃったのさ。
はあぁ俺大分溜まってんな(苦笑)


『この人についていこう』って思わせてくれる上司というかリーダーに飢えてるんだな^^
昔は、いました。うちの会社にも。そんな人が。
でもその人はリストラがあった時に反体制分子として切られちゃったんだ。実力も行動力も牽引力も並外れたものを持っていた人だったのに。だからこそ逆に経営層からは疎ましがられてたのかもしれないけれど。
送別会の時、僕は男泣きしながらその人に抱きついたんだ。「あなたのことが好きです」って叫びながら。酔っ払ってた勢いもあったけれど^^;
後にも先にも男に抱きついたのはその時だけだったな^^
リーダーシップ論


なんかさあ。
俺持て余してるんだ。
わけの分からない情熱をさ。

もう寝ようっと。

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