背筋がゾッとする話
恐らく丑三つ時の時刻だったと思う。
何とも厭な音を聞いた。
今こうして思い出すだけで身の毛がよだつ。
「ぎぎっ・・・ぎぎぎっ・・・」
時間は確認出来なかった。思いがけずあまりにもゾッとしたからだ。
僕は恐怖のあまり布団をかぶって耳をふさいで寝ようとした。
そして音のする原因を考えた。それは間違いなく寝室の扉がゆっくりと開く音だった。
それが夏場なら僕は納得できる。窓を開けて寝室のドアを半開きにしていたとしたら風が吹いてドアを揺することがある。
だが今は真冬だ。早朝は氷点下近くまで気温は下がり雪が舞ったり霜が下りる季節だ。
当然窓は閉め切っている。当たり前だ。だから部屋の中に風が入り込むはずなどない。
ならば何だ・・・?
ドアをゆっくり開けようとしていたものの正体は一体なんなのだ?
その後再びドアが動くことはなかった。
妻や子供は小さく寝息を立てて安らかに眠っている。
僕はドアを背にし、布団に包まって身を小さく縮ませたまま、ひとりガタガタ震えながらまんじりともせず朝を迎えた。
翌日、普段通りの一日が過ぎた。本当になんでもない一日だった。
そしてその日の晩、眠りに入る間際に僕は昨夜のことを思い出し、僕が体験したその事を妻に告げた。
そしてその時、僕は衝撃的な事実を妻の口から聞かされ、文字通り背筋が凍るほどの思いをすることになる。
その驚愕の事実を知ったこと・・・それはまさに背筋がゾッとする恐怖体験であった。
妻は一言。軽~くこう言った。
「ああ、昨日ね。今朝見たら窓開いてたよ。網戸だったねぇ」
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