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初めて聴いた時の率直な感想は「何じゃこれ」だった。もう10年くらい前のことと思う。
ブートレグなどさんざん聴いてレアなビートルズの音源に飢えていた僕は、未発表曲満載という売り文句で発売されたこのアルバムに無条件で飛びついた。
でこのCDを初めて再生した時の率直な感想が冒頭のそれである。
音は悪いし、演奏は雑っぽく聴こえるし未発表曲といえどオリジナルじゃなくカバーだし。
その頃の僕はコピーバンドにも縁が無かったし、また近い将来そういう状況になることすら想像だにしていなかった。
当時の僕の志向はビートルズの後期 であった。ホワイトアルバム以降の音しかまともに聴く気にならなかった。
そんな状態で手にしたこのアルバムである。当時の僕の情けない琴線に触れるはずも無くとりあえず一聴してお蔵入り となったわけである。
その数年後セルターブに加入することとなり、そして僕はまっちゃんから殆ど自動的にジョン担当に任命された(メガネをかけていることがアピールポイントだったのかもしれない)。
でまずはライブ実行を目標にスタートした背景から、レパートリーの選曲は四人で演奏し易い初期のものから多く選ばれることとなる。
そしてバンド活動を初めて何度かライブを経験し、バンドの難しさや面白さをようやく知りつつあった時再びこのアルバムを改めてじっくりと聴いてみようという意識が芽生えてくる。
そしてつくづく実感させられた。目から鱗とはこのことである。
全編スタジオライブで一発録りされたこの音源群(但し一部オーバーダブあり)を自分達で演奏してみたらどうなるかというイメージをしてみても到底どうにもならないほど高いところにビートルズは居たのだ。
恥ずかしくも今さらながらようやく思うに至ったわけである。ビートルズは、とんでもなく上手いバンドだったのだと。
これに似た記事は前にも書いたような気がするからこの辺にしておくけれど。
で今思うにこのアルバムは、ビートルズはその当時のライブツアーでは売れて人気のある決まった曲しか演奏することを許されず、本当に演りたいことが出来なかったフラストレーションを観客のいないラジオのスタジオで発散させていたのではないかと思うのである。
まだハンブルグで武者修行をしていた頃など何を演っても良かったわけだし、その頃に感じた自分達の本当に演りたい曲をライブで演奏する快感を得たくて仕方なかったのではないかと。
だから演奏も全編を通して実に伸び伸びと躍動しているのではないかと思う。楽しくて仕方ないというような。
バンドを始めていなかったら、このアルバムはきっとまだお蔵入りだったような気がする。
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