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2006年5月12日 (金)

最高のヴォーカル

いやそれはヴォーカルというより咆哮というべきか。


喉から搾り出すようなそのヴォーカルは凄まじい。聴いているだけで体中からアドレナリンが噴き出すような感覚がする。
ジョンがメイン・ヴォーカルをとるビートルズの曲の中でもこれが1、2を争うものだと僕は思う。


ジョンのシャウトで余りにも有名なものは初期のもので「TWIST & SHOUT」がある。

そのレコーディング時。
ファーストアルバムのレコーディング・セッションは終盤を迎えそして午後10時半をまわった頃。
その日酷い風邪をひいていたという23歳のジョンは上半身裸になり、士気を高ぶらせこれ以上もう二度と歌えないという位にその一曲に全身全霊を注ぎ込みそしてその声をテープに記録したという。
そして「最高で驚異的な演奏だった」とジョージ・マーティンをはじめコントロール・ルームにいたスタッフを痛く感動させたという。


ジョンほどヴォーカルのスタイルが変わったヴォーカリストも珍しいのではないかと思う。それは年齢相応の肉体的な変化によるものであることは勿論であるが。
それにしてもジョンのヴォーカルはアルバム一作一作でことごとくそのスタイルを進化させているように思う。ファースト・アルバムとラスト・アルバムの時間的な期間は僅か7年に過ぎないにも関らずその声の違いは全く別人といってもいい程の差がある。どれ程の体験をすればこのような劇的な変化を顕すことが出来るのだろう。


この曲は1965年、ジョンが25歳の時に記録された音源である。
これは前述の「TWIST & SHOUT」に勝るとも劣らない(いやむしろ洗練されているだけ強力さを増しているのである)、途轍もない破壊力を持ったジョンのヴォーカルを全編に聴くことが出来る。この声はまさに「咆哮」と表現することが相応しい。歌っているその喉から血が噴き出しているような気さえするほどである。
これほどの見事な音楽として成り立つ「咆哮」を僕は他に知らない。ヴォーカリストとして僕の尊敬するジョン・ボン・ジョヴィの声でさえここまで見事なシャウトは聴くことが出来ない。ましてやその辺の半端なロック・ヴォーカリストなど足元にも及ばない。
ジョンは、ヴォーカリストとしても間違いなく唯一無二、そして不世出の存在であるのだ。
ただ日本人でこれに近い凄まじいヴォーカル音源を残しているアーティストが僕の知る限り一人いる。尾崎豊さんだ。


これは僕の主観であるが、ジョンのヴォーカルの魅力というものは、「動と静」そして「情熱と冷静」がそこに同時に存在していることにあると思う。
ジョンに内在する情熱は桁外れに熱く、そして内面には同時に繊細さが備わっている。寂しがり屋で意地っ張りであり、またそれを防御する為なのか攻撃的で且つ内省的。
自らの肉体に備わる「楽器」としての喉を自在に使いそして其処から発せられる「声」にその持て余すほどの情熱を顕すということが出来たジョン。
そんな生身の人間としてのジョンに僕は堪らなく惹かれるのだ。


「DIZZY MISS LIZZY」

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