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2006年9月10日 (日)

化石

すっかり忘れてしまっている頃に何かのきっかけでふと思い出したりする言葉がある。
それを言われた時にちょっと嬉しかったりした時などなおさらだ。


音楽談義に花を咲かせている時に過去のお互いが辿ってきた道に話題が差し掛かることがある。
そんな時お互いが同年代で同じような音楽的傾向を持っていると何時までも尽きることなく物凄く話が弾んだりする。

ぼくはかつて一人多重録音をしていた時代があったことを打ち明けた。彼も同じだと言う。
こう来ると「でさあ、最初はやっぱラジカセ二台でやったよね?」「そうそう!やったやった」となる。
でその後普通は順当な進路としてMTR(Multi Track Recorder)に発展するわけである。勿論ぼくもそうであった。そしてそれは勿論、現在のようにハードディスクMTRなど存在していなかったからカセットテープ(笑)のMTRだ。時代的にね。
あーそういやVHSのビデオテープのMTRとかもその頃あったなあ。アレ欲しかったなあ。でも高かったなあ。…買わんで正解だったけど(笑)


それで当時カセットMTRでピンポン録音というものが可能なのだと知った時はぼくは狂喜乱舞したものであった。
ってことはピンポンを繰り返したら永遠にオーバーダビングし続けることが可能ではないか!まさにまるで夢のようだ!ってね(笑)
まあ実際はそんなことをしたらノイズだらけで聴けたものにはならないのですが。ピンポンは精々2回が限度。
まあピンポン録音じゃなく消去ヘッドを取り外したレコーダーで音をひたすら重ね録りした偉大な先人が過去にはおられました。
ジョン・レノンというお方が(笑)


そうこうする内に宅録熱が高じMTRが4トラックから8トラックへ進化します。TASCAMのポータ・ONEから488へ。わかる人にはわかる。懐かしいでしょ?(笑)
更にMIDIキーボードやマルチアウト可能の音源モジュール、そしてローランドのシーケンサーの名機MC-300などを収入の全てを注ぎ込み購入。MTRでシーケンサーを走らせてシンセサイザーやドラム音源との同期録音が可能になり一気にトラック数が拡大(4トラックでこれをすると同期で1トラック潰さなければならなかったので痛かったが8トラックなら余裕だったのがこの上なく嬉しかった)。

ぼくはそのシステムを駆使しそれで数々のビートルズの楽曲を打ち込みと生録の混合で自分なりに創り上げていった。独自の解釈とアレンジで。すでに自宅スタジオと呼んで差し支えなかった当時の六畳間(笑)で。当時独身で親と同居してたからさぞやバカ息子と嘆かれたことであろう(笑)

今でも聴き返すと自画自賛になるかもしれないがこれが結構悪くない。ただヴォーカルを除いて(笑)
その当時ぼくは腹式呼吸での発声など意識したことすらなかったし、だから声が全然出ていない。喉だけで歌っている。だから悲しいかな歌だけは情けなくて聴けたものじゃないのですなあ。


そこまで行った後、ある日突然一気に宅録熱が冷めてしまう。その理由はひどい失恋をしたからだ(笑)
あれほど入れ込んでいた宅録が何故いきなりそうなるに至ったか詳しくは忘却してしまいましたが。まあそういうことにしといて下さい(笑)

それから何年か経って僕はバンドに移行する。しかもビートルズのコピーをライブ一発で再現しようという途轍もなく魅力的な野望を持つバンドに。
だから自動的に宅録システムとしてはこれ以上のものが必要不可欠なものでは無くなったのだ。ライブが主体になったわけであるから。


で、冒頭の呑みながらの音楽談義の続きである。

「あのね、ぼくはいまだにカセットMTRが現役だよ」とぼくは言う。
すると彼。「エ…?! いまだにカセットテープなの?? ああ~っ!発見してまった化石を!」
言うに事欠いて面と向かって人のこと化石とは失礼な(笑)

でも化石という言葉でアナログオヤジ扱いされて何故かちょっと嬉しかったりもしたのが自分でもよく理解できないところなんだけれど(笑)

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コメント

いや~、楽しそうな話ですね!混ぜて下さい(笑)。
俺も同じくラジカセ2台(厳密にはカセットデッキとラジカセ)からでした。その後も同じくカセットMTRで、MD、ハードディスクという変遷です。でも今でもTEACの144をミキサーとデジタルレコーダーの間に挟んで、ブースター代わりにしている人は多いようですよ。ちょっとしたコンプになるそうです。レコーダーとしてもカセットのあの音は捨て難いですよね。ぜひレノすけさんの音源を聴いてみたいなぁ~。

投稿: ダイスケ | 2006年9月11日 (月) 18:15

やはり!ダイスケさんもそうでありましたか!ところでラジオの第1回放送聞かせていただきました。その辺語ってましたね~(笑)

でも確かに、あの頃の機材ならではの音ってのは本当に味があって、今の機材ではなかなか再現できないんじゃないかと思いますね。
デジタルにはない温かみみたいなものが間違いなくあると思います。

多重録音で思い出すものといえば、一人ドゥワップ。山下達郎にカブレていた頃の話です。
音源は全て自分の声と指パッチンにより記録された「涙のリクエスト」に果敢に挑戦した音源が懐かしい思い出ですね。ある意味非常に、痛いです。
使用機材は前述の通りラジカセ2台でした。ラジカセ内蔵マイク使用。で2台のラジカセの内1台は程度の良いものでこれを録音用、そしてもう1台のしょぼい方を再生用としていました。つまり、録音用のラジカセで録ったテープを再生用のラジカセにに移し、そしてまた新たな一本のテープを録音用のラジカセにセットして録るわけです。以下繰り返し。二本のテープを入れ替え入れ替え。後戻りの出来ない勝負でした。
ところがぼくはこの時大きな過ちを犯していることに気付く由もありませんでした。
そう、メーカーの違う2台のラジカセの回転数というものは微妙に異なっているのです。それはまさに落とし穴でした。

その手法のオーバーダブを何度か繰り返しているうちにテープの回転数がどんどん下がった状態になり、悲しいかな最後はデロンデロンのテンポとキーになってしまったわけです。
で出来上がった音源をドキドキしながら友達に聞かせたら一言「なんかお経みたいだよ」と。
痛かったですねえ(笑)

投稿: レノすけ | 2006年9月11日 (月) 23:56

一人ドゥワップ、良いですね~!そうやって色々試したからこそ今があるんですよね。今同じ事をやったら面白いかもしれませんね。やってみようかな~(笑)。

投稿: ダイスケ | 2006年9月14日 (木) 23:07

そうですね!ゼヒやってみて下さい。ラジカセ2台のシステムで(笑)ある意味最先端かも(笑)

しかし図らずもダイスケさんが言われたように、色々試してみるってのは大切なことかもしれません。実に。
今こうして大人になってしまうと、考えるよりもまず行動ってのがなかなか出来なくなってきていることを痛感させられます。行動するより先にまず考えちゃったりして。で余計なことばかり考えて結局何も行動を起さない前にやったような気になっちゃったりしてね(笑)最悪だ(笑)

案ずるより生むが易し。
言葉の額面通りもっとそれが出来るようになっていきたいです。ただし悲壮感なくね(笑)

投稿: レノすけ | 2006年9月14日 (木) 23:23

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