彼の家に遊びに行き、いつもステレオを聞かせて貰っていた。
その頃の我が家ではステレオは高級家電の部類に入っており、自宅でステレオを聴くなどということは到底叶わぬ夢であった。
しかし家でもレコードを聴く手立てはあるにはあった。ただしそれはステレオを呼ぶには程遠いものであったけれど。なぜならそれはてんとう虫の形をしていたからだ。
でもそのてんとう虫でもちゃんとLP盤も聴けたし、カセットテープに録音することだって出来た。ただし生録だった。階下で母さんが片付け物をする音がどうしても入り込んでしまうことだけが難点だった。
そして彼の家でレコードを聴かせて貰う時。
僕の目の前で慣れた手つきでLP盤にスプレーをかけ埃を取る彼の姿。
回転数を慎重に調整して、ターンテーブルの上に乗せたレコード盤の上に針が落ちる時の音。
眩しい様にそれを眺める僕。正直、羨ましかった。
中学一年の頃の話。今から25年くらい前のこと。
そんな彼がある日、彼が家にあるレコードを適当に見繕って60分テープ一本に纏めてくれたことがあった。
色とりどりの選曲で、それは僕にとって宝物のような最高のテープになった。それを編んだ彼のセンスにも脱帽した(とはいえその内容はその時の彼の所持する音源の殆ど全てだったような気もするが^^)。
それは今の僕の原点になっていると言っても過言ではない。今でも実家に戻れば現存するそのテープを聴くことが出来る。
その中で今でも鮮明に覚えているものを挙げてみます。
「スターウォーズのテーマ(ジョン・ウィリアムス)」」
いわずと知れたテーマ曲。最初のクレシェンドが強烈です。
「ユー・アー・ラヴ(ジャニス・イアン)」(角川映画『復活の日』の主題歌)
かなりマニアック。サビの部分を聴くと今でも手放しで草刈正雄に駆け寄って来るオリヴィア・ハッセーの姿が目に浮かんできます。
「Mr.BOOのテーマ(サミュエル・ホイ)」
もっとマニアック。同名の映画のタイトル曲。『ホゥーテンヒーパンタートンツァイ・・・ブゥ!』という歌詞が強烈なインパクトを与えてくれます。
「防人の歌(さだまさし)」
サントラとしては更にマニアック。映画『二百三高地』メインテーマです。さださんのイメージをある意味で固定してしまった一曲。
「とてもちいさなまち(さだまさし)」(防人の歌のB面)
意外と知られていない佳曲。歌詞が素晴らしく良いです。
“君と出会って尚更深くこの街を愛した/砂糖菓子みたいな家や草花や人やその言葉を”
こんな歌詞を書けるなんてさださんはやっぱり普通の感覚の持ち主じゃない。
「オズの魔法使いのテーマ(えーと・・・虹の彼方にじゃなくもっとポップなもの、曲名は知らない)」
憂鬱な時も聴いているだけで気分が晴れてくるに違いないと思える曲。誰もが一度は聴いたことがあると思う。
「ジョーズのテーマ(ジョン・ウィリアムス)」
…サントラが多いなあ^^ 有名なあのテーマ。
「Ride On Time(山下達郎)」
出だしがどうしても変拍子に聴こえてしまっていた。今は解消したけれど。
一度ブレイクする部分でバスドラだけになるところが堪らなくカッコよかった。
「昴(谷村新二)」
いまや国民的唱歌。でもその頃は新曲だったのです。
「What Love Is(谷村新二)」(昴のB面)
ピアノとヴォーカルだけの至極シンプルなサウンド。歌詞や歌い方、全てが大人の世界だなって子供心に思った。
クライマックスの『ベイベベイベベイベェ・・・ぅう』 が鳥肌もの。
・・・てんでバラバラで無節操な選曲ではあるけれど。
どれもこれも、ひとつひとつ、思い出がギッシリ一杯詰まっている。
本当に大切な、かけがえのない最高のテープ。
一曲一曲それぞれに、僕は詳細な記事を書くことができるだろう。
いつか、書こうと思います。
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