新・深夜の闘争(1)
例えば深夜と呼べる時間帯まで残業したとして、平常時と何ら変わらず尿意は訪れるのであります。
何しろ残っているのは自分独りだけなわけだから、仮にその辺で用を足したとしてもその時は誰にも文句は言われないに違いないのは必至だとしても翌朝には最重要容疑者扱いになるに違いないのもまた同時に必至なのであります。
何れにしてもいい大人なので尿意に抗うことなどさっさと諦めてさっさと厠へ向えばいいのは百も承知なのでありますがそうもさっさとはいかない大人の事情ってものがあるっちゃあるのであります。
出るんです。
出るっても尿じゃなくて。
ただでさえ無人の筈の上のフロアから誰かがドシドシ歩く的なサウンドが聞こえて来たり、僕の名前をハッキリ呼ばれて振り返ると誰も居なくてよくよく考えたらその声の主はいま海外出張に行っていることを思い出したり、用を足している真っ最中に厠の外の廊下から「バサっ」と何かが落ちる的なサウンドが聞こえたりとそれはそれはホーンデッドマンション的側面満載な工場なのでありまして、然るに深夜に独り厠へ足を運ぶという行為などそれはそれは出来ることなら避けて通りたいイベントの最上位にランキングされるそれはそれはな超一大イベントなのであります。
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